It's K's life.

けーくんの備忘録です。2018年夏からケンブリッジのMBAに行きます。三島由紀夫と海老蔵に似てます。

ど真ん中ストレートで三振の山を築く事業を創る

こんにちは、日本初のDirect Air Capture(大気中からのCO2直接回収)スタートアップ、Planet Savers株式会社のKです。

今回が2社目の起業でしたが、「何で気候変動スタートアップなの?」「教育の人じゃないの?」と頻繁に質問されてきました。

 

元々私はJICAで電力やエネルギー領域も担当していたのでスキルや経験的なConnect the Dotsもしてますし、個人として気候変動に対しての問題意識もめちゃくちゃあるんですが、この記事ではもうちょっと左脳的に起業領域選ぶ時に意識した、「ど真ん中ストレートで三振の山を築く事業を創る」というお話をします。

 

1. ど真ん中ストレートで三振を取れるピッチャーになりたい

皆さん、突然ですが、「BUNGO」という漫画をご存じでしょうか?

ヤングジャンプで今も連載されている、超面白い野球漫画です。(※私は漫画大好き、野球もかなり好きな阪神ファンです)

この漫画の主人公、石浜文吾君は中学生なんですが、めちゃくちゃヤバいストレートをストライクゾーンど真ん中に投げ、三振の山を築きます。

出典 : BUNGO 単行本22巻

勿論変化球が上手くて制球力のある打たせて取る系の技巧派の選手も素晴らしく、私もそういうピッチャーめっちゃ好きなんですが、でもやっぱり文吾君や、リアルの世界でも大谷翔平さんみたいに三振の山をど真ん中ストレートで築けるピッチャーって、皆さん憧れますよね?

 

私はこの、「ど真ん中ストレートで三振の山を築く」という概念は起業に際しても重なるところがあると思っています。

特に、私の場合最初のキャリアがJICAだったのも、転職先でソフトバンクを選んだのも「グローバルで大きな社会的・経済的インパクトを創出したい」という想いがずっとあったからで、そうした大きなインパクトに繋げるためにどのような軸で事業を創るかを考えるようになりました。

 

2. 起業における「ど真ん中ストレートで三振の山を築く」事業

私は教育事業で起業した経験から、以下の3つが新規事業を創る上で極めて重要と考えます。

①課題がど真ん中

②ストライクゾーンが広い

③圧倒的に速く、伸びと切れがあるストレート

 

これらを兼ね備えることで三振の山を築ける=圧倒的にグローバルでインパクトを創出する企業の創造を目指せると考えています。

①課題がど真ん中:圧倒的に解決されるべき本質的な課題であること

誰もがこの課題を解決すべきと考えるような、非常に重要で本質的な「ど真ん中の」社会課題(ビジネス課題でも恐らく可)に取り組むことはシンプルに意義深く、また、共感し応援してくれる仲間が集まります。

教育事業に際しても私は「次世代のリーダーに必要な実践的な学びの不足」という課題の解決に取り組みました。これはまさしく、特に日本ではど真ん中の課題だったと感じていて、多くの方に支えていただき、事業を創り上げることができました。

気候変動は言わずもがな、グローバルでほぼほぼ合意されているど真ん中の課題であり、取り組まない理由がありません。

 

②ストライクゾーンが広い:その課題の市場規模が極大であること

ど真ん中にストレートを投げても、ストライクゾーンが狭ければ三振は取れません。

これはビジネスで言えば市場規模に当たると私は思います。

私が取り組んできた中高生向けのリーダー教育は極めて重要な課題である一方、市場規模は大きくはありません。

結局、教育市場のメインストリームは受験対策やエリート教育なのです。

じゃあそちらと接続すれば良いのでは?という考えもあるでしょうが、私は自分たちの教育事業をそうした既存の本質的ではない教育へのアンチテーゼとして立ち上げたので、変にキャッシュを稼ぐために事業を拡大することはビジョンに反するものでした。

他にもやりようはあるのでしょうが、少なくとも私にはビジョンを保ちつつ大きな市場にリーチすることは簡単ではないと感じています。

翻って、私たちがPlanet Saversで取り組むDirect Air Captureは、市場が明確に存在します。アメリカではCO2回収量1tonあたり$180の巨額の税額控除や、$35億の補助金も動いています。環境系はお金にならないという先入観が日本では強いですが、グローバルでは気候変動対策の領域へのお金の流れは地殻変動的に起きており、2050年にはDirect Air Captureだけで70兆円の市場に達すると言われています。

そう、取り組みたい課題のストライクゾーンが圧倒的に広いのです。

 

③圧倒的に速く、伸びと切れがあるストレート:その課題を真正面から、他の追随を許さぬレベルで解決できる解決策があること

さて、これは当たり前ですが、のろのろで打ち頃のストレートをど真ん中に投げたらホームランを打たれて終わりです。

やはりど真ん中に投げ込んでも打たれない、圧倒的なストレートが必要です。

加えて重要なことは、そのスピードや伸び、切れといった面で、他のプレイヤーが追いつけないものである必要があります。もし皆がみんな球速165kmのストレートを投げられる世界なら、160km台のストレートの価値も失われていきます。

私は教育事業で、本当に質の高い事業を創り上げることを心がけてきました。超一流の講師陣・メンター陣に協力いただき、圧倒的に成長できるコンテンツを共有してきたという自負があります。

しかし、教育の領域というのは差別化が簡単ではありません。他にも多くの素晴らしい教育事業がありますし、我々の後から始まった面白い教育事業もたくさんあります。

参入障壁が極めて少なく、ブランド力や営業力勝負になりやすいと感じました。

そうしたこともあり、私は新たな起業に際しては、世界の同業他社と真っ向勝負しても勝てる圧倒的な強みがあり、かつその参入障壁が高く差別化できる、もはや170kmのノビノビキレキレストレートを投げれるような事業アイデアを探しました。

その結果、共同創業者の伊與木の研究するゼオライトを用いれば、Direct Air Captureのコストを理論上は他の先行プレイヤーに比べて大幅に下げられると確信し、起業への意思を固めました。


3. 最後に

以上、「ど真ん中ストレートで三振の山を築く事業」についての私の考え・想いでした。

何故我々がDirect Air Captureで起業することを選んだのか、パッションベースだけではないという点も伝わっていれば嬉しいです。

また、これから起業を考えている方に多少なりとも参考になれば幸いです。

なお、一つ誤解してほしくないのは、変化球の事業だったり、いわゆるニッチ市場向けの事業を否定するものではないということです。私自身、今営んでいる教育事業についてはやはり意義深いものだと考えていますし、多少なりとも社会にインパクトを創出できていると自負しています。そういった事業の積み重ねで社会が作られていると思うので、色んな事業があるべきです。

しかし、私はやはりグローバルで量的なインパクトを目指したい。そのためには「ど真ん中ストレートで三振の山を築く事業」がやはり必要だと思うのです。

 

グローバルで「ど真ん中ストレートで三振の山を築く事業」を創っていきますので、Planet Saversをよろしくお願いします!