It's K's life.

けーくんの備忘録です。2018年夏からケンブリッジのMBAに行きます。三島由紀夫と海老蔵に似てます。

MBA三分の一経過。振り返り、そして。

あっ、と言う間。

 

そう、本当にあっという間に3ヶ月が過ぎていった。

 

9月に入学したケンブリッジMBAも、3つある学期のうちの最初の学期が遂に終わってしまった。すなわち、三分の一(以上)が経過。恐ろしい時の流れの速さに、目眩がする。 

ブログを書くと宣言したものの、想定以上の多忙さに全く時間無く、入学後一度も記事を投稿せずに今に至ってしまった。これはいけない。

ちょっと自分の中で思うこともあるので、ここいらで一度翔ぶが如く過ぎ去りしこれまでの3ヶ月間を振り返った後、残りのMBAどう駆け抜けるべきか、整理したい。

まず、ケンブリッジMBAの様子がどんな感じか、よく聞かれるので以下ざっとお伝えしよう。

  1. 授業

学生の本分、授業。MBAへの進学を選んだ理由の一つには授業を通じて幅広くビジネスで必要なハードスキル(ファイナンス、統計等)を学びたいというモチベーションもあったため、ビジネス経験の豊富な他の学生と比べて期待値は高かったと思う。

3ヶ月間授業を受けて、現時点で総合的にはポジティブな評価を持っている。ファイナンスコーポレートガバナンスの授業はおそらくケンブリッジでも最もクオリティの高い教授が担当しており、素人の私にも分かるように非常にわかりやすく講義が進んだ。何より、欧米のMBA名物とも言える学生の積極的な授業への参加が想像していた以上に面白い。国籍はコロンビア人からウクライナ人、職歴はマッキンゼーから映画ダイハードの監督の助手まで、様々なバックグラウンドの学生が堂々と(時に間違ったことも言いつつ)興味深い意見を発信する。中には日本人の常識を覆すレベルのKY具合な学生も存在するが、それをうまく処理する教授とのやり取りも面白い。

ただ、当然全ての教授がパーフェクトとはいかない。ケンブリッジが他のMBAに比べて強いと言われている分野にアントレプレナーシップがあるのだが、学生の評価はあまり高くない。組織論の授業等も感銘は受けなかった。計算の仕方が分かれば良いだけのハードスキル系の授業に比べ、これらのソフトスキル系の授業は教えるのが難しい面もあると思うが、MBAの価値としてソフトスキルを磨くことができると言うのは大きな魅力のはずなのでもう少しクオリティが上がれば良いな、とは思う。

  1. グループワーク・課外活動

ケンブリッジMBAの売りの一つに、実践的な学習と言うのがある。メインプログラムの中でグループワーク・ケーススタディーを用いて講義で学んだ内容を実践し、理解促進・知識の定着を図ると同時に、プログラム外でも課外活動を奨励し実践機会を増やすものだ。

グループワークも幅広く、統計データの分析やディシジョンツリー作成といった基礎的な内容もあれば、Facebookの株価の妥当性を評価せよと言うなかなかハードなものまであった。その中でも特に印象深いのが大学も推しているケンブリッジベンチャープロジェクトで、3ヶ月間五人一組でチームを組んで課題に取り組むというものだ。私の場合はイギリス人、アメリカ人、イタリア人、メキシコ人と某欧州軽自動車メーカーの自動運転市場参入に関するコンサルティングを行った。グループによってはメンバー全員マイルドで何ら口論も無くフレンドリーに進む場合もあるのだが、逆に個性的なメンバーが多くて大喧嘩でプロジェクトを終える場合もある。うちのチームの場合はなかなか個性的なメンバーかつ多忙過ぎて何ら機能しないメンバーがいたりもし、ドラマティックな展開が続いた。書き始めると長文になるので詳細は割愛するが、自動運転というホットなトピックについてダイナミックなメンバーのチームと英語で一緒に取り組むというのはなかなか刺激的な経験だった。

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ダイナミックなグループメンバーらと。

加えて課外活動も多くの機会が溢れている。MBAの中でも20以上のビジネス系のクラブ活動が存在するが、それに加えてケンブリッジの大学全体でも幅広いクラブ活動がある。私の場合はMBA内でアジアクラブ、アフリカクラブ、アントレプレナーシップクラブ、ソーシャルイノベーションクラブに所属している。アジアクラブでは代表に選出され、70名の同級生の期待を背負ってイベントを企画している。MBA外でもテニスクラブとワインソサエティに参加し、ヨーロッパ流の社交を学ぶ機会が提供されている。また、ビジネスコンペへの参加も盛んに行われている。普段クラス等で関わらない同級生とチームを組んで共通の関心分野に取り組む貴重な機会である。かくいう私も同級生らと2つのコンペに応募して(一つは自分のビジネスアイディア)選考を突破し、2月にはアメリカとタイに招待されている。

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アジアクラブでの打ち上げ。

他のMBAの中には大学の定めるプログラムをこなしているだけで時間が無くなるところもあると聞くが、ケンブリッジについてはこういった様々な機会の中から自分の関心領域を選びつつ、ダイバーシティの中でのチームワークとリーダーシップを実践する機会が与えられるのは素晴らしいことだと感じている。

  1. ネットワーキング

これは想像以上だったというのがネットワーキングの機会の多さ。MBAのバリューとしてコネ作りを挙げる人は一定数以上いるが、ケンブリッジでのネットワーク機会は恐ろしいほど多い。

まず、MBA内でのネットワーキング機会は上述の通り。200人全員十人十色で面白い。基本パーティー好きな人々のため、毎週どこかのタイミングで誰かと飲んでお互いを知る機会がある。プログラム側も学生向けのイベントを定期的に企画し、意図的に交流の機会を提供している。

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ハロウィンパーティー孫悟空に仮装しました。

加えてMBA外でも機会に溢れている。ケンブリッジでは学生は学部を超えて特定のカレッジと呼ばれる組織に必ず所属する必要がある。ホグワーツのグリフィンドール・スリザリンのようなイメージだ。このカレッジでも定期的にイベントが行われ、そこでMBA外の学生との交流機会が提供される。デンマーク人の弁護士からエチオピア人の公衆衛生政策系の学生(WHOとかのイメージ)まで幅広く交われる。それ以外にもブロックチェーンに関するイベント、アフリカに関するイベント、スタートアップ立ち上げに関するイベントなどなど、毎日何かしら行われており、知識を得つつ共通の関心を持つ人々とネットワーキングすることができる。

 

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カレッジの入学式。厳かとはこのことか。

以上、非常に素敵な機会に恵まれている。安定したキャリアを捨てて貯金をはたいて来た私だが、投資に見合った価値のある、極めて良い環境だと個人的には思う。

そうした中で私自身のパフォーマンスはどうだっただろう?悪くはないが、結局満足すべきではない、というのが正直な評価だ。

授業と課外活動についてはそれなりに努力できたと思うし、結果も出せていると思う。バックグラウンドの無い分野での英語での高速授業と生徒と講師のやり取りは正直キャッチアップが難しかったが、その分これまでの人生でやったことがないくらい予習・復習を行うとともに、素晴らしい同級生たちにフォローアップを行ってもらえたおかげで何とかついていけている。講義中もなるべく積極的に発言しようと努め、積極的にプレゼンスは発揮できているように思う。課外活動でも上述の通りアジアグループのリーダーになり、ビジネスコンペ参加をリードし、機会を掴めていると感じる。リーダーシップの機会は今後も積極的に掴んで行きたい。

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MBAの同級生らで参加したケンブリッジ10kmミニマラソンの後。45分くらいで走れて満足。

他方でグループワークとネットワーキングについては課題が残っているように思う。ビジネスバックグラウンドの無い私にとってハードスキル系の授業の英語でのグループワークはなかなか難しく、リーダーシップはまずもって発揮できなかったし、的外れな発言をすることを恐れて発言を控えてしまい、まともに付加価値を提供することもできていなかったことがあったように思う。厳しい環境の中でも何らか食らいつかなければ、学びも限定的なものとなろう。間違うことを恐れずに積極的に発言し、グループにコミットしたい。

次にネットワーキング。MBAに入学前に、目の前に転がる機会が多すぎて取捨選択が難しいという話を仲の良い友人からされたことがある。その時は正直あまりピント来なかったのだが、ケンブリッジでは正にそれを感じる。常に複数のイベントが同時に開催されており、その中でどのように優先順位をつけるかが非常に重要だが、去年は十分にできなかったように思う。また、知見の無い授業についていけるか懸念しすぎて必要以上に予復習に時間を充ててしまったようにも感じる。たった一年のMBA、どうすればその価値を最大化できるかと考えれば、世界の最高学府であるこの街でもう少しネットワーキングに注力する必要があるだろう。

 

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カレッジでの夕食会。

MBAも残り半年。次の学期では失敗を恐れ無い積極性とプライオリティをテーマに、より一層の飛躍を目指したい。