It's K's life.

けーくんの備忘録です。2018年夏からケンブリッジのMBAに行きます。三島由紀夫と海老蔵に似てます。

ほぼ隔週けーくん新聞 第四号 -パレスチナ難民キャンプでホームステイしてみた-

こんばんは、けーくんです。

 

連日、欧米によるシリア介入について報道されておりますが、シリアに隣接するヨルダンでは情勢の変化を肌で感じます。

そのような大きな流れの中で、ちっぽけな不肖けーくんよりこの二週間のレポートをお送りさせていただきます。

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写真:パレスチナ難民キャンプ内の市場

 

******目次******

 

1)隔週所感

2)隔週のハイライト

3)素敵アルジャジーラアナウンサー

 

**************

 

1)隔週所感

 A)できる自分に近づくために

 昨週、日本から国際協力に関心のある一般市民の方が現場訪問する国際協力レポーターに同行してまいりました。

 こちら、日本にいる時から同行予定であると知っていたため、OJT前の部内プレゼンでも「是非一般市民の方の声を聞き、今後のJICAでの業務に活かしたい」と話していたところ、弊部部長を中心に「レポーターの方から何かを得るという姿勢ではなく、我が社の職員としてしっかりと要望に応えるという姿勢で臨むべし」というご意見をいただいておりました。

 第3号で書いたように、現場でも「最早新人ではない」というプロ意識の必要性を感じていたので、今回の動向に際しては事前に各プロジェクトの背景を調べ、一端のヨルダン事務所所員として、しっかりと対応できるように準備した、、、つもりでした。

 やはり、わざわざ貴重な時間とお金を割いてヨルダンに国際協力を調べに来るレポーターの皆さんの意気込みたるや凄いもので、矢継ぎ早に厳しい質問、ご意見が飛んできます。自分一人の知識、見解ではやはり不十分で、事務所の先輩に電話して確認をしたり、カウンターパートに聞き込むなどしてようやく答えられることも多々。また、私の話ではご納得いただけず、所長や次長にお話しいただいてようやく納得いただける場面もありました。

 市内視察でアンマン城を訪れた際には「団体観光客は必ず現地人通訳を雇わなければならない」と、現地ガイド、観光警察に吹っかけられ、警察の派出所に連行されたりもしました。(こちらは色々喚きたてて雇わずに済みました)

 そんなこんなでやりくりしていき、アンマン滞在最終夜、レポーター一人ひとりから視察報告の発表がありました。中には批判的な見解を持っていた方もいらっしゃったのですが、厳しい視点はそのままに「ヨルダンでの国際協力の意義について一定の理解を得た」というご意見もいただくことができました。また、もともと好意的であった方々からは、さらに理解を深めることができたと満足いただけたご様子でした。

 

 今回、我が社の「職員」として行わなければならないことをある程度できたと感じる一方、まだまだ諸先輩方のように分かりやすい説明を行うことも、突発的な事態に早急に対処することもできていないと感じさせられました。「できない自分がいる」ということをしっかりと意識し、少しでも「できる自分」に近づいていきたいと思います。

 また、我が社で働いているとどうしても途上国の現場や企業の方との関わりに目が向かいがちですが、納税者である一般市民の皆さんにどのように事業の意義を発信し、ご理解・信頼を得ていくか、そしてそのご意見を取り入れていくかということも常々意識しなければならないと考えさせられた一週間でした。

 

 B) パレスチナ難民コミュニティに入ってみて

 今週はこのOJTのハイライトであるコミュニティ体験として、パレスチナ難民キャンプで5日間ホームステイをしてきました。

 日中はカウンターパートのホストファザーの仕事に同行、午後の帰宅後は家族と過ごすという生活でした。

 まずはカウンターパートの仕事ぶりについて。

 アラブ人はあまり仕事しないと聞いていたところ、実際そうなのかも…と思ってしまったところがありました。

 勤務時間の少なくとも1/3近くはお喋りに使われているように感じました。アラビア語が分からないので、もしかしたら仕事の話をしていたのかもしれないのですが、業務時間との割合で言うと少し多いのかなぁという印象がありました。こっちでは一部の仕事ができる人にかなり仕事が偏っていて、ほかは仕事をしないという話も良く聞きますが、やはりそうなのかもしれません。

 しかし、我が社のプロジェクト期間終了後の案件についても、しっかりと持続可能な形で事業が続くようにフォローアップ、支援を続けているカウンターパートたちを見て、非常に嬉しく思いました。実際、プロジェクトは裨益者のパレスチナ人からも支持を受け、今も新しく事業に参加するパレスチナ人が増えているということでした。このプロジェクトは貧困世帯の女性向けの内職支援事業なのですが、世帯収入が月30000円程度の貧困層の生活が少しでも楽になる機会を提供するのは大変意義のあることだと感じましたし、何より、裨益者の女性たちが皆一様に熱心に研修を受け、自信を持って自分たちの生活の改善ぶりを語ってくれる姿を見、声を聞くことができ、とても嬉しく思いました。

 それぞれの国のそれぞれのライフスタイル、働き方がある中で、いかに賛同を得、協力者を集め、ビジョンを実現するか、それが肝要なのだろうと、今一度確認することができました。

 

 次にパレスチナ難民キャンプの生活について。難民キャンプというと、テントが張られ、着の身着のままで生活している人々をイメージする方もいるかもしれませんが、パレスチナ難民キャンプはそうではありません。40年以上の歴史を持つキャンプにはコンクリートの家々が並び、市場があり、既に一つの町になっています。キャンプではUNRWAというパレスチナ難民支援を行う国連機関や、ヨルダン外務省のパレスチナ問題局の支援が入り、学校も病院も整備され、最貧層のための支援も充実しています。国際社会の関心が向かいやすい分、以前訪れた最貧の地ゴールサフィよりも支援が充実している印象でした。

 他方、生活はやはり厳しいものがあります。難民キャンプに今も住んでいる人の多くは貧しくて街を出られない人が多く、仲良くなった若者の多くが月収4-7万程度。カウンターパートに至っては52歳で6万円程度の月収でした。アフリカや東南アジアに比べればもちろん悪くないですが、今も多くの家庭で10人近い兄弟がいるのはザラ、中には奥さんが二人いて、子供が21人というケースもある大家族社会では十分な教育を与えるのが難しい額です。特に、ヨルダンは物価が高いこともあり、大学に子供をやると100万近くの借金がかさむということもありました。

 それより何より考えさせられたのは、彼らのアイデンティティです。彼らの多くは自らをヨルダン人ではなくパレスチナ人だと言います。たとえキャンプに生まれ、実際にはヨルダンを出たことが無くても、彼らのホームランドはやはりパレスチナなのです。彼らに「君は幸せか」と尋ねれば、「今の生活について言えば幸せだが、パレスチナという祖国を訪れることができない人生を幸せということはできない」という答えが返ってきました。

 それでも彼らはユダヤ人を恨んではいないと言いました。イスラエルを建国したのはユダヤ人ではなくシオニストという少数の人々なのであり、宗教的に言えば兄弟ともいえるユダヤ人そのものを恨むことは的を得ないとの指摘でした。もっともな意見ですが、そのような冷静な意見を当事者から聞く機会があるというのは驚きでした。

 そのほかにも、文化や宗教について、ここでは書ききれないほど沢山の経験をし、たくさん考えさせられました(メッカに向かってお祈りもしました)。この地で国際協力に携わるにはやはりイスラムの文化、宗教、そして歴史について理解を深めなければならないと強く感じた一週間でした。

 

2)隔週のハイライト

ü  先週の国際協力レポーター同行の週にシリア難民キャンプの視察に行ってまいりました。

前々からこちらの新聞でも述べておりますように、私シリアについてはかなり強い関心を持っているものの、まだキャンプを訪れことがなかったため、不謹慎ですがとても楽しみにしておりました。

行ってみるとそこは別世界でした。現地人は入り口でのチェックがマスト。安全対策を専門とするローカルスタッフの警護なしには我々も入れず、移動は常に車。パリの商業通りにちなんでシャンゼリゼと名付けられた大通りには店が立ち並び、ジュエリーショップまであるという、正に一つの町。人口の少ないヨルダンでは今や人口第5位の規模です。
通りを走ると投石を受け、子供が車を叩きます。

 

そう、車の窓ガラスを境界に、内外で正に別世界が存在しているのです。

まるで、人間サファリパークを通るような気分に陥り、ひどく眩暈がしました。


暴力は日常茶飯事。劣悪な衛生環境から結核や肝炎が流行っているそうです。
協力隊員の方の活動する子供用施設を訪れましたが、すぐに喧嘩が始まる始末。えも言われぬ気持ちを胸に抱き、キャンプを後にしました

人間としての尊厳をどのように維持するのか。法的には我々のマンデートではないかもしれませんが、どうしても考えさせられてしまいます。

 

ü  ゴルフ、リベンジすべくコンペに参加してきました。参加にあたっては恥をそそぐべく、当日の朝も合わせて3度の打ちっぱなしに行き、ゴルフの師と仰ぐ某社のオジサマにもご指導いただいたのですが、スコアは前回より悪くなってしまいました…

しかし、タダでは転ばない私けーくん、ご指導いただいたオジサマ方とはすっかり仲良くなり、帰国前の飲みにもお誘いいただけました。

ゴルフに加え、社会勉強もさせていただきに行ってまいります。

 

3)素敵アルジャジーラアナウンサー

 相変わらずテレビが映らないので、アルジャジーラに代わりましてけーくんより後程シリア情勢に関する報道分析を号外でお送りします。

 興味の無い方は恐縮ですが無視してください。

 

相変わらずの長文で失礼いたしました。要点まとめるようにしないとだめですね。

残り一か月を切った海外OJT、帰国後少しでも戦力となるべく、ラストを駆け抜けます。

何かご意見等あれば、是非よろしくお願いいたします。

 

けーくん